「BCGが読む経営の論点2026」読了 – 2025年12月8日

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BCGが読む経営の論点2026」読了。
どのトピックにおいても "AI" がキーワードとして出現するのが来年に向けての特徴か。エネルギーを始めとする課題に対してもAIが結びつくところがあり、ポジティブ・ネガティブ両面で頻出していた。

以下、マークアップした部分を中心に読後メモ。

読後メモ

予測できない時代に「準備」できる会社だけが残る

  • 未来は当てにいくものではなく、“適応できる状態”を作るものだと腹落ちした
    • 予測より適応、安定より変化の受容
  • 未知を「脅威」として縮こまると、意思決定も投資も守りに寄ってしまう
    • 未知を「可能性の源泉」と捉える胆力は、経営者の資質というより日々の訓練
    • 変化が常態のとき、経営の仕事は「正しい答えを出す」より「外しても致命傷にならない構えを作る」に寄る

“第一階層ではなく第二階層の連鎖”を見る癖を持つ

  • 表層の効果(施策の即効性・短期KPI)だけを追うと、次の階層で起きる副作用(組織疲弊、現場混乱、信用毀損)を見落とす。
  • 事業づくりでも組織づくりでも、「その次に何が起きるか」を連鎖で想像するのが、戦略の解像度だと再認識した。目先の最適化が“連鎖の破壊”になってないかをチェックする視点(例:リアルタイム化が現場を壊す、の示唆)がポイントか。

結局、最大レバーは「CEOのエネルギー投入」である

  • 不確実性が高いほど、トップのエネルギー配分がそのまま組織の成果になる。「優先順位を絞る」「複雑さを削る」は、仕組みではなくトップの意思の表れ
  • 経営がやるべきは“推進力”の発揮で、現場に委ねるのは「実装」であって「方向性」ではない
    • ここでいうエネルギー投入は、会議の量ではなく「存在意義の提示」「集中領域の選定」「基盤整備」「健全な協働の設計」に向けた投下。

インテグリティは「選択肢」ではなく「前提条件」

  • 信頼契約を結び続けられない会社は、長期戦で必ず詰む。利益・効率より上位に“信頼”がある、という順序の確認。ルール遵守の話だけではなく、社会との関係のなかで経営の自由度(=やれることの幅)を守る行為がインテグリティだと捉え直した。変化が激しいほど「やっていい/やらない」の線引きがブレやすいので、前提条件として明文化・反復する必要がある。

経営そのものを「苦難」ではなく「喜び」と捉える姿勢

  • 苦しい局面ほど“経営の舵取り=罰ゲーム”になりがちだが、ここを生命としての喜びと捉え直せるかで、耐久力が変わる。「変化を受容する胆力」は、感情の置き方(意味づけ)で増幅できる、という示唆として受け取った。

AIエージェントで「判断→実行」までが連続になる世界観

  • 生成AIが“回答・生成”中心だったのに対し、AIエージェントは“判断から実行まで”を自律的に担う、という整理がわかりやすかった。
    • EC関連だとAmazonの「Buy for Me」の例は、ECにおける“比較・探索・決済”が代理実行されうることを直感させる。UI/広告/導線の設計前提が変わる
    • 人間が担う仕事が「オペレーション」から「監視・介入」に寄るなら、評価制度・役割定義・責任の置き方を作り直さないと回らない

組織構造はピラミッドから“情報が流れるアジャイル型”へ

  • エージェントが情報連携を担えば、「報告のための階層」が薄くなる。これは管理職の役割を“人員管理”から“価値創出(課題解決・想像力)”へ押し上げる圧になる。
    • 管理職が二極化するという指摘は、そのまま人材戦略のテーマになる(育成できないと淘汰が起きる)
    • 最終的に企業能力を左右するのは、AIに代替できない“思いのこもった決断を、適切なタイミングで下す力”という結論が刺さった。

AIファースト企業の特徴は「AI以外で差別化」と「PL構造の変化」

  • AI活用が当たり前になるほど、差別化はブランド/IP/人材/ファーストパーティデータに回帰する。結局“持ち物”が効く。人件費が下がりテクノロジー投資が増える=PL構造が変わる、という整理は、経営管理の物差しも変えるべきだという示唆があった。IT/デジタル人材が事業部側に入り、IT部門が“基盤提供者”として強くなる流れは、自社でも起きうる(起こすべき)未来。

A2A(エージェント同士の経済圏)で「標準化が不要になる」可能性

  • 企業間・システム間連携のネックだった標準化が、エージェント同士の自動連携で相対的に小さくなる、という見立ては大きい。一方で、店舗にAIが自動電話するような世界では、問い合わせ対応が“人間前提”だと破綻する。受け口(インターフェース)そのものが競争領域になる

AI時代のインフラ制約は「データセンター×電力」で顕在化する

  • AI活用はソフトの話だけで終わらず、国内DC・電力不足・サプライチェーン・人的リソース不足にぶつかる。ここがボトルネックになると、戦略の実行速度が落ちる。
  • 国内に処理拠点を置くことが通信品質だけでなく、経済安全保障・途絶リスクにも直結するという観点は、プロダクト戦略にも影響する。

世界貿易の転換は“一過性ではない構造”として読む

  • 保護主義が「政治家の気まぐれ」ではなく、長年の経済構造変化と不満の結果として生まれた、という整理は重要。前提が戻らないと考えるべき。
    • 米中それぞれの“切実な国内問題”を理解することが、世界を読む基礎体力になる(政策の一貫性は国内事情から出る)。サステナビリティが一時的に減速して見える局面ほど、投資を継続するプレイヤー(例:中国企業)との差が開く、という警鐘

SCM改革は「つながらない/連携できない/属人化」をAIで越える

  • 壁は技術より“データがつながらない”“社外と連携できない”“判断が属人化”という現実にある。
    • 「名寄せと判断粒度の統一」は、AIを“分析”ではなく“意思決定の回路”として使う方向性を示している。リアルタイム化は万能ではなく、動かす領域/動かさない領域を分けないと現場が壊れる。スピードを上げるほど“制御設計”が重要になる。

「ITの主権」を取り戻すとは、上流工程と契約を見直すこと

  • 企画構想をベンダーと一体で作ると、社員の主体性が削がれ、ベンダー視点が入り込みやすいという指摘。生成AI/エージェント活用は“狭く深く”。核となるユースケースを1〜2個に絞って資源集中しないと、DXの二の舞になる。
  • 経営トップが最新技術に触れ、自らメッセージを出して不安を解き、挑戦の場を用意しないと改革は進まない、というところは結局「トップの仕事」に回帰する。

金利のある世界では「PL×BS一体管理」が避けられない

  • 調達環境が厳しくなるほど、信用力(格付け観点含む)をKPIとして管理する必要が出る。
  • ソフトウェア事業のようにハードアセットが薄い事業は、躓くと調達と信用に直撃する。BS面を含めたポートフォリオ再点検が必要になる。
  • 事業部KPIも、ROE逆算の売上・利益だけでは不十分で、回収期間や支払条件などキャッシュに効く分解KPIが必要、という示唆はすぐ使える。

AIというトピックによってすべての課題の捉え方が変化したという風に考えられて、ある種とてもチャレンジングな1年が訪れようとしているという気持ちになった。

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